スマートフォンで起こる姿勢の問題-ストレートネック

スマートフォンで問題になっているのがストレートネック。

これ、世界中で起きているもので、悪影響は姿勢だけにとどまらないすごく怖いものなんですよ。

ストレートネックとは

ストレートネックと正常な首の比較

左:ストレートネック、右:自然な首のカーブ
(写真:Foster Chiropracticより)

まずストレートネックとは何か、を見ていきます。

首の骨、頚椎は本来、若干カーブしています。背骨は首から腰に掛けてS字を描くようになっており、これで弾力性のあるバネの働きを生み出しています。
この首の部分のカーブが失われてまっすぐになってしまったものがストレートネックです。

ストレートネックになると

などの症状が出る場合があります。とくに頭痛、肩こり、首の痛みは多く見られます。(無症状の方もいますよ)

このストレートネックの原因として問題視されているのが、スマートフォンです。

スマートフォン使用者

スマートフォン使用時は下に向きがち

スマートフォンを使用しているとき、多くの場合、スマートフォンを体の近くに持ち、それを覗き込むように下を向きます。
首を下に向けると首の骨は湾曲のない状態になります。

通常の首と下向きの首

左)正面を向いた通常の首、右)下を向いた時の首

下を向く動作は自然ですし、このとき首の湾曲がなくなるのは自然なことなんですが、この伸ばされた状態が長時間継続されるというのが問題なんです。

この状態が長時間継続されると、首の自然なカーブが徐々に失われてストレートネックとなっていきます。

また首にかかる負担の大きさも問題です。

首の角度と負担

首の角度と負荷の関係
首への負担は、まっすぐのとき5㎏程度なのに、よくある下向きでは20㎏を超えている
Surgical Technology International 2014 Nov;25:277-9. Assessment of Stresses in the Cervical Spine Caused by Posture and Position of the Head; Kenneth K. Hansraj より引用

頭が下向きになるほど首にかかる負担はどんどん大きくなります。正しい姿勢の時は5㎏程度。頭の重さの分ですね。角度が下向きになるほど負荷が大きくなり、下を覗き込むような60度までいくとなんと約6倍!27㎏もの負担です。

画像を見るとわかりますが、30度程度でも姿勢が良いほうです。
上に掲載したベンチでスマートフォンを見る男性の写真、あれがちょうど45度。あれぐらいの角度、普通ですよね。そう、普通に見える姿勢でも約4倍もの負荷がかかっているんです。

頚椎がのばされ、しかも4倍以上もの負荷をかけられる。
この状態が長時間繰り返されることで頚椎(首の骨)のカーブが徐々に失われ、ストレートネックへとなっていきます。

この問題、世界中で起きています。子供でももちろん起きることで、社会問題となっており、子供が治療に通うケースも珍しくありません。

この映像はアメリカabc Newsのabc 7で放送されたものです。
スマートフォンが原因で10代の子供たちが首の痛みに悩まされ、治療に通っていることが伝えられています。

スマートフォンだけが悪いわけではない

さて、このストレートネックの問題はスマートフォンだけが悪いのではありません。上で紹介した動画でも"TEENS SUFFERING FROM 'TEXT NECK'"と書かれているのに気づいたでしょうか?

日本でストレートネックと呼ばれるこの症状、英語圏では"Text Neck=テキストネック"と呼ばれます。テキストは文書や教科書ということですね。
デジタルにかぎらず、本などを読むときにも同様に首が下向きで長時間固定されることで同様のことが起こるので、スマートフォン以前から存在はしていたわけです。

しかし、読書は続けても2時間程度。勉強なら途中で休憩も入ります。また机を使うことが基本なので姿勢を間違えなければそれほど下向きにはなりません。
スマートフォンは区切りがないので特に遊びで使うと時間に限りがありません。机などの無い場所で使うのが当然なので体の近くに持ち、覗き込むように使いやすいです。

このようなことから、スマートフォンのほうが問題が起こりやすく、事実スマートフォンの広がりにあわせてテキストネックの問題が世界中で広まってきました。

スマートフォンだって、正しい姿勢で使えば問題ないってことです。

ストレートネックの予防とストレッチ

スマートフォンの正しい姿勢

スマートフォン使用時の正しい姿勢

スマートフォンを使うときの正しい姿勢は、

この2つを注意すれば自然と視線は上がり下を向くことはなくなります。

姿勢が悪く首に痛みを感じるようになった場合、ストレッチが有効です。
ネックエクステンションと呼ばれる上を向いて首を反らせるストレッチですが、ただ顔を上に向けるのではなく、ストレッチポールやフォームローラーなどを首や背中の上部に当てたほうが、引き伸ばされながら首が反ることになるので効果的です。
なにも使わないストレッチと場合と比べてみれば、ストレッチの効果が全然違うのが体感できるほどです。

首と胸のストレッチ

首と胸椎(背骨の胸部分)のストレッチ

ストレッチの注意点ですが、首はデリケートな部分なので力一杯上を向くようなことはしないように!また力を入れると首の筋肉に力が入りうまく伸びてくれません。

ローラーの上に寝転がり、力を抜いて体の重みで自然と伸ばすようにします。時間をかけて行うのも大切です。寝転がり首を反らせたら、数回深呼吸をしてゆっくりと伸ばしましょう

フォームローラーはストレッチとマッサージができるだけでなく、コリをほぐす筋膜リリースにも効果があるのでかなりおすすめですよ。

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