姿勢が崩れる・続かないのは浮き指かも
正しい姿勢は「正しい姿勢・悪い姿勢」で紹介した通り、壁を背にして、踵を壁から2~3センチ離して立ち、後頭部・肩甲骨・お尻を壁につけて、腰は手のひら1枚が入る程度隙間を作れば出来上がりです。
でも、こうして作った正しい姿勢が長続きしないことがよくあります。
もちろん慣れは必要ですが、それ以上に、重心の位置のずれにより姿勢が保持できなくなることが大きな要因です。
重心の位置が基底面の中心からがずれていると、どんなに姿勢を直そうとしても絶対に崩れます。
そして、この重心の位置のずれの原因として最も多いと思われ、影響も大きいのが浮き指(指上げ足)です。
浮き指とは
足裏の接地面:
浮き指では指がほとんどついていない
浮き指(指上げ足)とは、立っているとき・歩いているときに足の指(正しくは趾)にしっかり体重がかかっていないことです。ひどい場合は足の指が文字通り浮いています。
足の指に体重がかからない分、指の付け根、踵(かかと)に体重がかかっています。
この浮き指、軽く考えてはいけません。浮き指がもととなり体に起こる不調として
- 肩こり・首のコリ
- 頭痛・めまい
- 腰痛
- O脚、それによるひざの痛み
- 足のむくみ、それによる冷え
- うつ病・自律神経失調症
- 足裏のタコ・魚の目
- 冷え性
などが挙げられています。
浮き指で体重バランスが乱れる→姿勢が崩れる→支えるために筋肉が緊張、という負の流れがおきます。
腰部の姿勢が崩れると腰痛になりますし、頚部が崩れると神経異常をから精神障害が起きやすいとされています。
筋肉の緊張からは筋肉のコリ、コリがもとの頭痛がおきます。
また、足の一部に体重がかかるので魚の目などができやすくなりますし、血行が悪くなるので冷え性にもなりやすいです。
浮き指の確認方法
自分が浮き指か否か、確認する方法として、浮き指治療の第一人者である笠原氏が2つ紹介しています。
1つ目は、足の親指を甲側に押す方法。90度以上反ってしまう場合は浮き指の可能性大です。
浮き指の確認方法1:足指が90度以上反る
90度以上反る状態を足が柔らかいと考えてしまいがちですが、これは柔らかいのではなく異常な反りです。
裸足で歩く国7か国を調査し比較検討した結果、男性は甲側に平均45度、女性は甲側に平均75度くらいが限界だったとの結果があり、これを大きく超えるということは足が正常に機能していない、弱体化しているために起こる異常と考えられます。
ただ、足指が反るように特別に訓練している人は、浮き指でなくても90度反らせることができます。例えば、武道等で足指を反らせる訓練を積むことがあります。このように訓練によって反らせられるようになった人は例外的ですね。
そんな方も含めて確認方法をもう一つ。
2つ目は、膝を伸ばした状態で足を台などの上に乗せます。この状態で足首を90度にしたとき、足の指が甲側に反る場合も浮き指の可能性大です。
浮き指の確認方法2:膝を伸ばし台に乗せ、足首90度にしたとき、足指が反る
この場合、指の柔軟性は関係ないので、指が柔らかいだけではという懸念はありません。
足首を90度にするというのは、立っているとき・歩いているときの形を再現するためです。再現したときに指が反っているということは立っているとき・歩いているときも同様に足指を反らせる癖がついている可能性が大きいわけです。
2つのうち片方でも当てはまれば浮き指の可能性大、
両方当てはまる人は、もう間違いなく浮き指と思ってください。
また、浮き指になると
- 足の指の付け根の皮膚が厚く・硬くなっている。またこの部分にタコや魚の目ができやすい。
- 踵の皮膚が厚く・硬くなって、ガサガサしている。
という特徴も出てきますのでこれも目安にしてください。
浮き指の原因
浮き指の原因としてあげられているのは
- 運動不足により足の指を使っていない
- パンプス・先の細い靴など、指が動かせない靴を履いている
などがあります。
しかし、細い靴も履かないし、運動もしている場合でも指をしっかり使っていなければ浮き指なります。
まさに私がそうですし、アスリートでも怪我に悩まされている人を調べてみると浮き指だったというケースもあります。
裸足で、起伏のある場所を移動するような生活であれば必ず足指も使われます。しかし、現代は靴で動きが制限されているうえ、指を使わなくても移動に困らない舗装された平たんな道ばかり。
無意識に足指を使えている人はこれでも困りませんが、そういった一部の人以外は意識して使っていかないと足指は弱り、浮き指になっていきます。
普段の生活の中で足の指を使わないのが、浮き指の主な要因ですね。
浮き指で姿勢が崩れる理由
浮き指で起こる様々な体調不良は、浮き指そのものが要因ではありません。浮き指で姿勢が崩れることにより体調不良が引き起こされます。
では、なぜ浮き指で姿勢が崩れるのでしょうか?
足の裏では本来、足指・指の付け根・足裏の小指側・踵に体重が分散されています。浮き指では足指に体重がかかっていませんので、その分重心が後ろに移動します。
後ろ体重のまま背筋を伸ばすと体が後ろに傾き不安定になります。また後ろに傾く分、体の前側の筋肉で体を引っ張り続けることになり疲れてしまいます。
この不安定さの解決、疲れの軽減のため体は自然と背筋をまげて重心を前に持ってきます。
自然と猫背になるんですね。同じ理由でお腹を突き出す反り腰になる場合もあります。
浮き指だと後ろ重心に→バランスをとるため猫背に
猫背になれば、頭を支えるために肩や背中の筋肉が緊張しますので肩こり・首のコリが起こり、これがひどくなると頭痛になりますし、首に大きな負担がかかると神経に異常が起きやすくなり、うつなどの精神障害のリスクが高まります。
反り腰は腰の負担がかかるため腰痛の原因となります。
浮き指を治すには
基本は足指のストレッチと運動です。
ストレッチは足指の間に手の指を入れます。できるだけ足指の付け根まで深く入れましょう。この状態で指を曲げるように足裏方向に押し込みます。片手では押し込むのが難しい場合、反対の手を添えて下に曲げてやりましょう。
浮き指改善ストレッチ:
足指が大きく開くよう、できるだけ奥までいれる
こうすることで指がしっかり開くと同時に、足指を反らせている甲側の筋を伸ばすことができます。
これ、結構痛いです。細い靴などで足指が閉じているとなおさら。
運動は足指の曲げ伸ばし。足じゃんけんの要領でグーパーしてもよいのですが、それだと握りこみが不完全な場合もあるので、タオルを使うほうが確実です。
浮き指改善運動:
指だけでタオルを引き寄せる
座った状態で下に敷いたタオルを足の指だけで引き寄せます。この運動を1回2分、1日2回の合計4分行います。引き寄せるときは指を限界まで曲げて、開くときはしっかり指を伸ばすというように大きく動かすことを意識しましょう。
タオルは軽いので体重を支えるほどにするには負荷が少ないですが、足指を使えるようにするという意味で、初期段階にはおすすめです。
足指だけで前に進む運動が非常に良いのですが、これは体重がかかるので2分もやろうとすると大変。両足指を一度に曲げて進もうとすると前進できない人も。最初は片足ずつ交互に動かしましょう。
このような足指の運動を約3週間続けると変化が出てきます。浮き指が改善されても、運動は3週間以降も継続が基本です。
3週間後からは指が動かせるようになっているので浮き指は軽減されてきますが、そもそも足指を使わない生活が原因なので、運動をやめれば足指もまた弱っていき使えなくなってしまいます。
私は運動を取り入れて約2か月、浮き指の症状は若干軽減されました。でも、長時間立っているときにふと気づくと浮き指に。浮き指は後ろ体重なので踵(かかと)が痛くなって気づくんですよね。足指を意識して立つようにしているんですが、意識だけでは難しいですね。
私も足指運動は継続しています。
足指を自然に鍛えられるグッズ
足指運動が面倒、継続させるのが大変という人には「足ゆび運動ぞうり」という便利な道具があります。
履いて日常生活をおくるだけ。足指に自然に力が入るので指を曲げる力が鍛えられ、浮き指を改善できます。
草履はもともと指が動きやすい履物です。それに加えて、指先部分を低くすることで歩くときに自然と指でつかむ動作が行われるようになります。
日常生活の中で30分履いているだけで足指を開く・閉じるという運動が約2500回も行われることになります。
家の中で履いているだけで足指運動ができてしまう優れもの。
日々、足指運動を行うよりずっと手軽なのはもちろん、体重がかかるうえに運動回数も多いので、足ゆび運動ぞうりのほうがトレーニング効果が高いですよ。